・工場経理はお金を管理する仕事だけど、どういう不正に気を付ければ良いんだろう?
・どういう不正があるか知っておいて、未然に防ぐ仕組みを作りたいなぁ。
今回はそんな疑問・不安に応える記事です。
工場経理だけではなく、経理業務全般を行う上で、不正を起こさないように業務に取り組むこと、また不正を起こさない仕組みを作ることが重要です。
先日、経理担当者が会社のお金を使い込んで逮捕されたニュースを観ましたが、残念ながら不正を行う人がいるのは事実です。
今回は工場会計業務をしていて、起こりうる不正について考えますので、未然に防止できるように取り組んでいきましょう。
棚卸資産を盗み、売却して現金を得る不正
工場は換金できるたくさんのものがゴロゴロあります。
部品、金具、ワイヤーなどを使用している棚卸資産(仕掛品・製品・貯蔵品等のことです)は売却すれば換金できますので、盗んでしまう人がいます。
自分が働いていたとしても、自分の職場に転がっている部品や金具は工場の財産なので、盗むのは絶対ダメなことなのですが、盗みを働く人も存在します。
ではどうすれば良いかを考えると、工場の部品を出し入れする倉庫には必ず鍵をかけて、何をいつ誰が何を倉庫から出したのかを記録し、部品を管理すること、が対策になります。
人に頼った性善説での管理せず、上記のような盗みができない仕組みを作ることが重要です。
私の会社では、特に海外の工場で厳重に管理されていて、上記の仕組みを採用して盗めないような仕組み作りがされています。
棚卸資産を水増しして決算処理をする不正
工場では期末になると必ず棚卸を行い、実際に棚卸をした数量を基に金額換算をし、棚卸資産として計上します。
ここで気を付けて頂きたいのは、期末にB/Sへ計上する棚卸資産は、実際に棚卸をした金額と一致しなければなりません。
もし一致しない場合は、集計上の手違いの可能性もありますが、棚卸資産の在庫金額が正しくないため、水増しされた可能性も考えられます。(工場経理を実際に担当されている方はそんなことしないと思いますが・・)
それでは、なぜ在庫の水増しを行うかと言いますと、業績が良くなるからです。
在庫の水増しをすると、棚卸資産が増えます。
棚卸資産が増えるということは、原価として認識していた材料が資産化されますので、資産化した分の原価が減ります。
原価(費用)が減れば利益が増えますので、業績が良くなります。
よって、意図的な在庫の水増しは利益操作をしていることになりますので、絶対にしてはいけません。
この対策としては、在庫集計業務を専任業務にせずに、少なくとも担当者2人以上のチェック、その後上司のチェックを行ったあとに決算を締める、という仕組み作りを行うと効果があります。
担当者一人で全て完結してしまう業務はかなり危ないので、十分気を付けて下さい。
あとは棚卸資産の在庫計算が会計士の監査対象でない場合は、社内の内部監査対象にする等、第三者が確認を行うようにすればさらに効果があります。
工場内にある金庫の現金・金券を盗む不正
工場でも現金を必要とすることがありますので、金庫に現金や金券を保管します。
その金庫内の現金・金券が盗まれる可能性があります。
盗まれないようにする対策の例として、下記が挙げられます。
・毎日就業後に現金、金券を数えて帳簿と一致させる
・現金を出すときは2人以上の承認を必要とする
・現金出納業務を専任業務としない
・金庫に保管する現金は必要最低限とする
特にどの業務でもそうですが、“専任業務にしない”ということは大事なことだと考えています。
ニュースで会社のお金を使い込んでしまった人のコメントで、”経理を一人で任されていたので気付かれないと思い、不正を行った”と言っているのを耳にすることがあります。
一人で行う専任業務にしてしまうと、バレないと思ってしまい好き勝手に業務をされてしまう恐れがあるので、出来るだけ2人以上の承認制で業務を行いましょう。
この人は真面目そうだから大丈夫そうだ、と考えて業務を任せてしまうようなことはせずに、不正ができない仕組み作りを進めましょう。
本日のまとめ
今回は工場会計で起こりうる不正について考えました。
説明した不正と対策は下記のとおり。
・棚卸資産を盗み、売却して現金を得る不正⇒(対策)部品を出し入れする倉庫は鍵をかけて管理する
・棚卸資産を水増しして決算処理をする不正⇒(対策)専任業務にせず、2人以上でチェックをして業務を行う
・工場内にある金庫の現金・金券を盗む不正⇒(対策)金庫管理を専任業務にしない、毎日現金を数えて帳簿と合わせる
これらの不正に共通して言えることは、ある特定の人だけが業務を行うような“専任業務”をなくすことが重要ということです。
人の性善説を信じて業務をするのではなく、不正を行いたくても行えないような仕組みを構築して業務を行うようにしましょう。
そうすることで工場会計を行う自分の身を助けることになりますので、専任業務になっている業務がないか確認しながら業務を進めてみてはいかがでしょうか。